この乱雑な世界に抗って

Against this Messy World

タイトルこの乱雑な世界に抗って
監督オウ・シーウィー
プロデューサーオウ・シーウィー
編集シーン・シャオチー・ヤップ
音楽イー・カーホウ、パンロック・スラップ
制作国マレーシア
制作年2023
VDP上映年2023 -笑!-
上映分数26分17秒
使用言語華語、英語、マレー語
字幕英語/日本語

作品紹介

『この乱雑な世界に抗って』は、マレーシアの複雑な政治的・社会的状況を背景に芸術表現の核心を掘り下げ、深く内面的でありながら視覚に訴える短編ドキュメンタリーである。マレーシアのアーティストたちの語りに耳を傾けると、そこには生き生きとした会話や彼らの飾らない姿があり、混沌として不確実性に満ちた世界で表現者であることの本質とその目的を理解するための探求に観客を誘う。

オウ・シーウィー

監督

オウ・シーウィーはマレーシアの陶芸一家に生まれ、国立台湾芸術大学で映像制作を学んだ。主に人間関係や社会現象に焦点を当てた作品を制作し、作品はカメリマージュ映像美術国際映画祭、ファジル国際映画祭、イラン国際ドキュメンタリー映画祭シネマ・ヴェリテ、クレルモン・フェラン国際短編映画祭、釜山国際短編映画祭、オアハカ映画祭で上映された。多様なストーリーテリングの手法を開拓し、ドキュメンタリーやアニメーションのほか長編フィクション映画も手がけている。音声、音響デザイン、撮影監督として多くのプロジェクトに携わることで経験を重ね、映像や音響を駆使したストーリーテリングの技術を高めている。マレーシア・サラワク大学と新紀元大学学院の客員講師。

リナ・ツォウ

助監督

リナ・B・ツォウは国立台湾大学映画学科出身のフィリピン系台湾人の映像作家。幼少期をマニラで過ごした後に台北に移り、現在はマレーシアのクアラルンプール在住。多民族・多言語の居住先を転々としたことで東アジアと東南アジアの文化を深く理解するようになり、それをきっかけに映像制作の視点を確立し、人権や移民の福祉に深く共感するようになった。それらの問題を提起する彼女の映像作品は、カンヌ国際映画祭、釜山国際映画祭、ニューヨーク近代美術館ドキュメンタリー・フォートナイトで紹介され、台湾の金馬映画祭短編実写部門にノミネートされた。現在はクアラルンプールを拠点にフィクションとドキュメンタリーの両方に取り組んでおり、様々な語りのあり方を模索している。

また、移民問題に関する社会活動や運動にも熱心に関わっており、台湾の無国籍児童の定期訪問や、コミュニティ間の交流、フィリピンの台風被災地域の子供や若者のためのクリエイティブワークショップ、台湾の移民の若者の同盟結成にも携わっている。 読書家、歌手、恋愛リアリティーショーの視聴者で、バドミントンの大ファンでもある。

監督へのインタビュー

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組むこととなりましたか?

私はいつも、「なぜ人々は芸術作品を作るのだろう?」と思っていました。マレーシア社会で育つと、芸術は望んでやるようなことではないとよく言われます。お金にならないし、高い地位も得られない、と。それでは、なぜ芸術家はわざわざそのようなことをするのでしょうか。このドキュメンタリーをめぐる私の探求は、多くの疑問と、マレーシアのアーティストたちの様々なスタイルや背景との出会い、彼らとの対話から始まりました。彼らは映画制作者も声を上げて行動を起こすべきだということを、私に思い出させてくれました。

審査員コメント

山本 博之

京都大学東南アジア地域研究研究所准教授 地域研究・メディア学 

多民族社会マレーシアの4組のアーティストたち。日本にもファンが多いマレーシアのアーティストたちの制作風景や舞台裏が垣間見られる。彼らは話す言葉も民族もジャンルも違うけれど、同じ土地と水の上で創作を続けている。それぞれのアーティストを追っていくうちに、水と人間、歴史と記録、田舎と都会といったつながりがしだいに増えていき、一緒に活動しなくても同じ目標に向かえるというマレーシア社会の特徴が浮き彫りになる。

エドワード・デ・ロス・サントス・カバグノット

映画編集者、フェスティバルプロ
グラマー、作家、芸術家

本作品はマレーシアの創造性を称える魅力的なドキュメンタリーであり、民族的隔たりとともに様々な芸術スタイルの枠も超えている。華人系マレーシア人の実験音楽家、インド系マレーシア人の俳優兼パフォーマンスアーティスト、ボルネオ島の農山村を拠点とする版画制作コミューンなど、幅広い対象への取材を通してコミュニティに根差した文化についての興味深い風景が浮かび上がる。この作品は有機的手法において遊び心に富み、そのストーリーテリングのスタイルはたくさんの楽しい驚きを観客にもたらし、マレーシアの芸術文化シーンの多彩さを映し出すことに成功している。そして、より重要なことは、本作品が「多様性の中の調和」の概念に対して個々の存在がどのように貢献しているかを示していることである。

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