母と息子

Mother & Son

タイトル母と息子
監督Thwe Myo Nyunt
編集Zaw Win Htwe
制作国ミャンマー
VDP上映年2016 -日常生活のポリティクス-
上映分数17min
使用言語ビルマ語
字幕英語/日本語
タグ喪失, 学生運動, 家族, 母親, 民主主義, 記憶

作品紹介

1988年、ミャンマーの民主化運動に参加した息子をもつ1人の母親。より開かれた社会のために闘い、彼らがはらった様々な犠牲を思い出す。彼女の体験は、ミャンマーの多くの家族の苦悩を反映するとともに、政治活動が犠牲を伴うものだということを私たちに知らしめる。

Thwe Myo Nyunt

監督

父親は出版者、母親は成功した作家というヤンゴンの文学一家に生まれる。ヤンゴン大学で物理学を学んだ後、家族の伝統に従い、ジャーナリストとして働きはじめる。ヤンゴンの週刊誌「The People’s Age」の編集者として、社会および市民社会の問題について多く執筆する。2012年にヤンゴン映画学校の脚本家コースに加わり、後にドキュメンタリー制作をはじめる。「Mother & Son」は監督としての初めての作品になる。

Zaw Win Htwe

編集

編集者としてのキャリアは2000年に「Natural Video Group」で始まり、2000年から2009年にかけて、約15本の主要映画と約80本の映像編集に携わる。2009年ヤンゴン映画学校に入学。海外の講師陣からドキュメンタリー映画制作と編集を学び、編集としてヤンゴン映画学校の映画制作を行う。それ以降様々な映画製作者と協力し、ドキュメンタリーとフィクションの両方を手掛ける。

監督からのメッセージ

ミャンマーは約50年間、軍の支配下にあった。国民は民主主義のシステムに変えようと努力し、政府に抗議した。1988年の民主化運動は記憶に残る軍動だ。多くの学生が亡くなり、逮捕された。政治犯の家族は非常に多くの困難に直面し、彼らと接触することを恐れる人々もいる。彼らは親戚や周囲の人々から遠ざかろうとする。彼らの両親は特別に運動に関わることはなかったが、両親、中でも特に母親の強い気持ちは大きな支えとなり、ミャンマーの民主化に非常に重要な役割を果たした。この映画は、政治犯の全ての母親を代表している。

選考委員コメント

石坂 健治

今年はミャンマーの秀作が目立ったが、本作はその代表的な1本である。1988年の民主化運動に深く関わって逮捕され、15年後にマンダレーの牢獄で獄死した青年。その記憶を母親が語る。淡々とした語り口がかえって消えることのない家族の悲しみを観る者に伝える。
1988年の運動を捉えた貴重な記録映像がふんだんに挿入され、犠牲者の母親の証言を通過したのち、ラストでは国家教育法に抗議する2015年の青年たちの姿がクロースアップされる。このように全編を通じて過去と現在が円環を成して首尾照合する映画的構成は見事で、観る者が多くのことを考える契機を与えてくれる。息子が逮捕されたあと「世間は自分たちと接するのを避けるようになった。」と語る母親の言葉がとりわけ重く心に残った。