ザ・ファイター

The Fighter

タイトルザ・ファイター
監督M・イスカンダル・トリ・グナワン
プロデューサーアリ・ミナント
制作国インドネシア
制作年2018
VDP上映年2018 -ポピュラーカルチャー-
上映分数26min
使用言語ジャワ語、インドネシア語、アラビア語
字幕英語/日本語
タグイスラム寄宿塾, ジャワ, 武術, 男らしさ, 青年

作品紹介

武術プンチャック・ドルという闘技と、そのリングに上がりたいと情熱を燃やすパティの物語。ベテラン格闘家のユディがパティや他の生徒たちのシラットを指導する。フリー・リング形式をとるプンチャック・ドルの競技は、力試しを望む格闘家たちを惹きつけるようになった。勝者も無ければ敗者も無く、無事を祈る特別な祈りだけ存在する中で、格闘家たちの日常生活におけるシラットの役割と発展を描く。

M・イスカンダル・トリ・グナワン

監督

ドキュメンタリー映画作家。ジョグジャカルタで学士号を取得する傍ら、自主制作映画のコミュニティで映画制作のキャリアを築き、現在も農村部や若者・学生向けにドキュメンタリービデオ制作のファシリテーターを務める。これまで監督や撮影監督を担当したドキュメンタリー作品には、『Tulang Punggung(背骨)』(2003年)、『Perampok Ulung(こそ泥)』(2009年)、『The First Impression(第一印象)』(2015年)『Bulan Sabit di Kampung Naga(竜が棲む村の三日月)』 (2015年) 『The Light of Hope(希望の光)』 (2017年)などがあり、いずれもアジア諸国で上映され、数多くの映画祭で表彰されている。

アリ・ミナント

プロデューサー

インドネシア・イスラム大学コミュニケーション学部で講師を務める。講師として研究と地域社会サービスに携わる一方、書籍や国内外の学術誌や学会向けの論文を執筆。文化やカルチュラルスタディーズ、メディア研究、多文化性、政治における視覚的問題に学術的関心の焦点を当てている。また、『Balada Kampung Naga(竜が棲む村の叙情詩)』、『Bulan Sabit di Kampung Naga(竜が棲む村の三日月)』、『Mata Air Mata: the Tale of Water(水の物語)』といったドキュメンタリー映画の制作やリサーチも担当。農村地域のユースコミュニティで開かれる写真ワークショップのファシリテーターとしても活躍している。

監督へのインタビュー

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組むこととなりましたか?

プンチャック・ドルは今の時代にも受け継がれている武術の格闘競技です。それはエンターテインメントであると同時に、インドネシアの伝統武術プンチャック・シラットを保護し、後世に伝えていく役割も果たしています。しかもプンチャック・ドルは、レスリングやボクシング、ムエタイ、ウーシュー(武術太極拳)など、さまざまなファイターたちが一堂に会する異種格闘技場なのです。私がこのドキュメンタリーの制作に興味を持ったのは、ストリートファイトの代わりに人々を魅了するこの競技が、インドネシアの東ジャワで近年問題になっている少年ギャングの抑制に寄与できるかもしれないという考えからでした。プサントレン(イスラム寄宿学校)で学ぶイスラム的価値観とプンチャック・ドルを切り離すことはできません。プンチャック・ドルで初めて試合に挑むサントリ(イスラム学生)も、この映画で描きたかった主題の一つです。

選考委員コメント

山本 博之

京都大学東南アジア地域研究研究所准教授 マレーシア地域研究、メデイア研究

かつて戦争や政変が繰り返された東ジャワのイスラム寄宿学校で始まった武術大会。寄宿学校の生徒たちは、大会運営を支えながら自らも試合に臨み、「リング上では敵、リング外では友」という格闘家の精神を学んでいく。

石坂健治

日本映画大学教授、東京国際映画祭シニア・プログラマー

少年は市場で野菜を売り、コーランを斉唱し、プンチャック・シラットの修行に励む。夜な夜な催される男たちの祭典は、異種格闘技ともいうべきフリースタイルのバトル。ボクシング、ムエタイから中国武術までが混じり合って迫力満点だ。