伴侶さがし

Golek Garwo

タイトル伴侶さがし
監督ワフユ・ウタミ
撮影班アメルタ・クスマ
制作国インドネシア
制作年2020
VDP上映年2020 -愛-
上映分数30min
使用言語インドネシア語、ジャワ語
字幕英語/日本語
タグ儀礼, 女性, 孤独, 家族, 熟年, 結婚

作品紹介

『伴侶さがし』は、高齢男性のバスリが再婚を願う気持ち、その期待と彼が向き合う現実についての物語だ。本作では、恋愛ものにありがちな、常に美しく完璧なものという理想世界の観念とは違う愛の見方が描かれる。シンプルで現実に即した愛情表現を描く本作は、親密さを示す単純なしぐさ、たとえば、新郎と新婦の言い争いや、彼らが自尊心から相手に本当の気持ちを伝えるのを思いとどまる様子などを取り上げる。この作品では、二つの別々の街で離れて暮らし、働く二人が抱える葛藤にも迫る。

ワフユ・ウタミ

監督

1988年中部ジャワのウォノギリ村生まれ。ジョグジャカルタ芸術大学で修士号を取得。映像作家で、ジョグジャ・フィルム・アカデミーの講師でもある。彼女の初作品『Welu De Fasli』は2017年のARKIPEL(インドネシア国際ドキュメンタリー・実験映画祭)国際コンペティションにノミネートされた。二作目の 『UnseenWords』は2017年のインドネシア映画祭で最優秀短編ドキュメンタリー賞を受賞した。

アメルタ・クスマ

撮影班

映像作家で映画制作は独学で学んだ。2015年に監督した短編ドキュメンタリー作品の『Dear My Homeland』はジョグジャカルタのドキュメンタリー映画祭で上映された。同時期に制作を始めた短編フィクション映画『On the Origin of Fear』は、2016年にヴェネツィア国際映画祭、トロント国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭で上映された。彼のプロデューサーとしての最新作で、ファニー・ホティマ監督のドキュメンタリー長編『You and I』は、2020年のDMZ国際ドキュメンタリー映画祭で初公開され、アジアン・パースペクティブ・アワードを受賞した。

監督へのインタビュー

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組むこととなりましたか?

このドキュメンタリーを作ったきっかけは、インドネシアのジョグジャカルタで行われている「ゴレック・ガルウォ」(伴侶さがし)というイベントに興味を持ったことでした。このイベントに対する主催者と参加者の動機に興味があったのです。本作では、バスリさん(62歳)を主人公に選ぶことで特定のストーリーに焦点を絞りました。私が特に興味を持ったのは、高齢者が考える男女関係がどのようなものなのか、そして彼らが結婚をどのように語るのかという点です。

監督からのメッセージ

この作品が2020年ビジュアル・ドキュメンタリー・プロジェクトの上映作品に選ばれたことをとても嬉しく思います。私の映画がより多くの観客、特に日本の皆さんに楽しんで頂ける機会を与えられたことに感謝しています。今年のテーマは「愛」ということですが、これは私の作品にピッタリなテーマです。私の長年の夢は、自分の作品を携えて日本に行き、日本の観客と直に触れ合うことです。次は、できれば日本に行って、日本の皆さんに直接会えることを願っています。

審査員コメント

山本博之

京都大学東南アジア地域研究研究所 准教授 地域研究・メディア学

ゴレック・ガルウォ(伴侶さがし)はジョグジャカルタ州バントゥル県で2011年に始まった。毎月開かれ、20歳~70歳の独身者なら誰でも参加でき、2019年末までに8000組が成婚した。戦車の上などの変わった場所で挙式する合同結婚式も行っている。本作では、一人暮らしでラジオだけが友だちのバスリ(62歳)が、家と職があり、オートバイに乗り、スマートフォンを使いこなすムルシエム(56歳)と結婚する。ムルシエムは家が遠いので結婚後も別居のままでいいと言うが、一人寝が寂しくて仕方ないバスリはラジオを自転車に積んで新妻の家に向かう。

リリ・リザ

映画制作者

「伴侶さがし」は、実直で闊達な登場人物を通じて愛というテーマを探る素晴らしい映画です。監督は出自にかかわらず全ての人に共通した愛の大切さを見事に捉えています。この映画は現代インドネシアの優れた肖像だといえるでしょう。