来場御礼!

               

Visual Documentary Project (VDP) 2018 無事閉幕しました。ご来場いただきまことにありがとうございました。VDP 2019もどうぞよろしくお願いいたします。

 

上映会

京都上映会

日時: 2018年12月13日(木)13:30-18:00[開場13:00]

場所: 東南アジア地域研究研究所 稲盛財団記念館・大会議室

主催: 京都大学東南アジア地域研究研究所

共催: 国際交流基金アジアセンター

プログラム

上映作品の詳しい紹介はこちら

東京上映会

日時: 2018年12月15日(土) 13:30-18:00 [開場13:00]

場所: 国際交流基金 ホール[さくら]

速水

主催: 国際交流基金アジアセンター

共催: 京都大学東南アジア地域研究研究所

プログラム

  • 13:30: 作品上映1 カンボジア・シアター The Cambodian Theate
  • 14:00: 作品上映2 リトリト RITO RITO
  • 14:30: 作品上映3 ザ・ファイター The Fighter
  • 15:15: 休憩 Break
  • 15:30: 作品上映4 コスプレイヤー Cosplayer
  • 16:15: 作品上映5 ラップタイ RAPTHAI
  • 17:00: ディスカッション Discussion

上映作品の詳しい紹介はこちら


 

 

 


作品紹介

Director: Sopheak Moeurn

カンボジア・シアター

カンボジアでは伝統的なクメール演劇が衰退しつつある。観客が減っているだけでなく、その存在を知る人も少なくなってきている。この作品は演劇の伝統の維持と保護に携わる数少ないアーティストたちの情熱を伝えている。別の定職に就きながら、巡業の時期になると夜ごと集まって舞台を準備する人々の姿を感受性豊かに描く。

ソペアク・ムァン

カンボジアのプノンペンに拠点を置く映像作家兼映像プロデューサー。プノンペンのPSEスクール・オブ・メディアで映画制作を学び、国内外でいくつもの短編映画を手がけている。映像作家としてのみならず、カンボジアで撮影される国際プロジェクトのフィクサーやラインプロデューサーとしても活躍中。

 

撮影地 カンボジア

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組む事となりましたか?

カンボジアではクメール演劇が衰退の一途を辿っています。今では誰も見にいかない、あるいはその存在さえ知られない
ようになっています。その昔、テレビやインターネットが普及する以前はとても人気があり、人々の娯楽として、また社交の場としてその役割を果たしていました。今ではこの伝統を絶やさないよう、同じ情熱を抱いたアーティスト数人が力を合わせ、カンボジア・シアターの継承に全力で取り組んでいます。日中は定職に就きながら、時間を見つけては集まり、季節巡業の舞台公演の準備に当たっているのです。

 

カンボジア・シアター

ソペアク・ムァン監督の作品『カンボジア・シアター』で取り上げられているバサック劇は、かつてカンボジアで非常に人気がありました。バサック劇は屋内でも屋外でも上演可能で、私も幼かった頃、父によく連れていってもらいました。カンボジア人向けにバサック劇を上演する劇場はプノンペンのあらゆる地域にありましたし、私たちも心からこの芸術を楽しんでいました。その当時はバサック劇を見たことのないカンボジア国民などいなかったといっても過言ではありません。ところが現在、この芸術はゆっくりと、しかし確実に姿を消しつつあります。バサック劇の伝統を復活させ、維持していこうとするソック・ソティー氏の尽力には心から感謝していますし、この芸術が私たちと共に生きながらえていくことを願ってやみません。私にとって、この映画を見ることは喜びでした。そしてこの映画を作り、バサック劇の価値を高めようというソペアク・ムァン監督の尽力には本当に感謝しています。
リティ・パン

短いながら盛沢山な映像を通じて、衰退しつつある伝統的なクメール演劇の現状を、演じるアーティストの苦労と情熱を通じて伝えている。別の仕事を持ちながら夜の舞台に集まる人々の姿が、この演劇を持続させようとする切実な思いを伝える。
速水洋子

Director: Ly Nguyen

リトリト

15歳の少女リト/ Ritoは学校でいじめられ、中学1年生の時に学校をやめてしまう。この作品では、リトがコスプレを現実逃避の手段として、別人になったり空想上のキャラクターに変身したりするようになったいきさつが描かれる。コスプレを通じて友情が生まれ、社会との折り合いがつけられる様子に焦点が当てられる。社会の変化やコスプレの流儀がベトナムの都市社会に及ぼす影響を鋭く描いた作品。

グエン・ゴック・タオ・リ

1996年にベトナムのハノイで誕生。アカデミー・オブ・ジャーナリズム・アンド・コミュニケーションでマルチメディアジャーナリズムの学位を取得したばかりだが、 2015年より映像制作に携わっている。ベトナム映画人材開発センター(TPD)の映画制作コースを筆頭に、さまざまなコースやワークショップで映画作りを学んだ。初めて手がけたドキュメンタリー作品『リトリト』は、2つのGolden LotusBud Awardと1つのSilver Kite Awardに輝いている。

 

タ・タイン・タオ

2000年生まれ、ハノイ在住。

 

撮影地 ベトナム

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組む事となりましたか?

私も以前はコスプレイヤーでした。それが初めてのドキュメンタリーを作り始めた理由で、映画のテーマはベトナムのコスプレコミュニティに決めました。最初に考えたのは、コスプレに対する偏見を変えたいという思いでした。私の国では今もなお、コスプレは時間とお金の浪費でしかなく、コスプレイヤーは奇妙で現実から逃避している人たちだという考えが大部分を占めています。しかし、この映画の主人公探しを進めるうちに、リトと偶然出会ったことですべてが変わりました。
リトと彼女の半生記には、言葉で説明できない魅力がありました。
リトはクラスメートからのいじめという問題に直面し、学校を辞めたあとは年齢的に違法と知りながらも仕事を探しました。友だちもいなければ、夢もない。そんな彼女に唯一の生きがいを与えたのがソーシャルネットワークでした。何年もの月日を経て、リトは彼女が自分本来の姿ではない時にだけ、世界に受け入れられていることに気付きます。そして彼女は、他人になりきるということを始めるようになります。外見を変え、行動を変え、自分とは違う人間になりきって。この映画では、コスプレで本当に彼女の存在が救われるのかどうか、あるいはそれが彼女の新たな問題となるのかどうか、あえて明確な答えを提示することはしませんでした。

 

リトリト

学校でいじめにあい中学1年でやめてしまった15歳の少女リトにとって、コスプレは現実逃避の手段であり、空想上のキャラクターを演じることで周囲と折り合おうとしている。ベトナムの都市社会の生きにくさの中でもがく少女の姿を鋭く痛々しく描いている。
速水洋子

東京ビッグサイトのコミケや六本木のハロウィーンにも似た風景のなか、コスプレという仮面を被ることで少女は周囲とうまくいくようになるが、新たな問題も生じるさまをカメラは的確に捉えている。
石坂健治

Director: Marjito Iskandar Tri Gunawan

ザ・ファイター

この作品で紹介するのは、武術プンチャック・ドルという闘技と、そのリングに上がりたいと情熱を燃やすパティの物語だ。ベテラン格闘家のユディがパティや他の生徒たちのシラットを指導する。フリー・リング形式をとるプンチャック・ドルの競技は、力試しを望む格闘家たちを惹きつけるようになった。勝者も無ければ敗者も無く、無事を祈る特別な祈りだけが存在する中で、格闘家たちの日常生活におけるシラットの役割と発展を描く。

M・イスカンダル・トリ・グナワン

ドキュメンタリー映画作家。ジョグジャカルタで学士号を取得する傍ら、自主制作映画のコミュニティで映画制作のキャリアを築き、現在も農村部や若者・学生向けにドキュメンタリービデオ制作のファシリテーターを務める。これまで監督や撮影監督を担当したドキュメンタリー作品には、『Tulang Punggung(背骨)』(2003年)、『Perampok Ulung(こそ泥)』(2009年)、『The First Impression(第一印象)』(2015年)『Bulan Sabit di Kampung Naga(竜が棲む村の三日月)』 (2015年)『 The Light of Hope(希望の光)』 (2017年)などがあり、いずれもアジア諸国で上映され、数多くの映画祭で表彰されている。

 

アリ・ミナント

インドネシア・イスラム大学コミュニケーション学部で講師を務める。講師として研究と地域社会サービスに携わる一方、書籍や国内外の学術誌や学会向けの論文を執筆。文化やカルチュラルスタディーズ、メディア研究、多文化性、政治における視覚的問題に学術的関心の焦点を当てている。また、『Balada Kampung Naga(竜が棲む村の叙情詩)』、『Bulan Sabit di Kampung Naga(竜が棲む村の三日月)』、『Mata Air Mata: the Tale of Water(水の物語)』といったドキュメンタリー映画の制作やリサーチも担当。農村地域のユースコミュニティで開かれる写真ワークショップのファシリテーターとしても活躍している。

 

撮影地 インドネシア

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組む事となりましたか?

プンチャック・ドルは今の時代にも受け継がれている武術の格闘競技です。それはエンターテインメントであると同時に、インドネシアの伝統武術プンチャック・シラットを保護し、後世に伝えていく役割も果たしています。しかもプンチャック・ドルは、レスリングやボクシング、ムエタイ、ウーシュー(武術太極拳)など、さまざまなファイターたちが一堂に会する異種格闘技場なのです。私がこのドキュメンタリーの制作に興味を持ったのは、ストリートファイトの代わりに人々を魅了するこの競技が、インドネシアの東ジャワで近年問題になっている少年ギャングの抑制に寄与できるかもしれないという考えからでした。プサントレン(イスラム寄宿学校)で学ぶイスラム的価値観とプンチャック・ドルを切り離すことはできません。プンチャック・ドルで初めて試合に挑むサントリ(イスラム学生)も、この映画で描きたかった主題の一つです。

 

ザ・ファイター

かつて戦争や政変が繰り返された東ジャワのイスラム寄宿学校で始まった武術大会。寄宿学校の生徒たちは、大会運営を支えながら自らも試合に臨み、「リング上では敵、リング外では友」という格闘家の精神を学んでいく。
山本博之

少年は市場で野菜を売り、コーランを斉唱し、プンチャック・シラットの修行に励む。夜な夜な催される男たちの祭典は、異種格闘技ともいうべきフリースタイルのバトル。ボクシング、ムエタイから中国武術までが混じり合って迫力満点だ。
石坂健治

Director: Yingsiwat Yamolyong

コスプレイヤー

この作品は、ほとんど知られていないタイの軍人コスプレというサブカルチャーの世界を掘り下げる。軍人コスプレに魅了されコスプレ中心の生活になったいきさつを語る20代後半の青年Jumに密着し、タイ社会における軍人コスプレイヤーたちの姿を深く描き出す。作品を通じて、マンガ、テレビゲーム、映画が現代のタイ社会で“消費”される様をうかがい知ることができる。

インシワット・ヤモンヨン

バンコクに拠点を置くインディペンデント映像作家。アピチャッポン・ウィーラセタクンの映画『ブンミおじさんの森』(2010年)と『光の墓』(2015年)でセカンド助監督を、『十年』(2018年)でチーフ助監督を務めた。ドキュメンタリーのみならず、長編映画や実験映画に関心を寄せており、愛国的でマッチョなヒーロー映画についての実験映像で構成された『The Bright Supernatural power of Nae Wat Doa』(2013年)や、タイのサブカル軽視を題材にした本作など、物語を伝えるための方法論を模索している。現在は自身の長編映画第一作のために脚本を執筆中。

 

撮影地 タイ

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組む事となりましたか?

日本のポップカルチャーから生まれたコスプレは、タイの社会においても興味深いサブカルチャーだと思います。とはいえ、タイの多くのティーンエイジャー(と大人)たちは、タイ以外の文化を通じて自身を表現しがちです。つまり、文化の流れは国境で仕切ることができないのです。
私はこのドキュメンタリーで軍人のコスプレイヤーに興味を持ちました。コスプレイヤーのコミュニティにおいては、あまり受けがよくないジャンルですからね。しかしこの作品のために調査を進めていくうち、歴史的な側面からもおもしろさを感じるようになりました。コスプレで軍人に扮するなら、軍服の歴史だけでなく、さまざまなアイテムをどこで入手できるのかを知る必要があります。自分だけで作り出せる空想世界のキャラクターとは本質的に違います。コスプレイヤーたちは可能な限り「本物」で「リアル」になりきった自分たちを見せ合うための特定知識が必要になるのです。
この世界のすべての文化が結びつき、多かれ少なかれ影響を与え合っていると私は信じています。だからこそこのドキュメンタリーでは、メインストリームな文化と歴史上の出来事の数々が、どのようにしてこのサブ=サブカルチャーを形作ったのか、それをタイという文脈において明らかにしたかったのです。

 

コスプレイヤー

タイのコスプレ界にあっても周縁的な軍隊コスプレに魅了された青年。米軍に憧れ、ロールプレイにふける彼は、しかしタイ軍のコスプレはしないという。タイ社会における軍隊コスプレイヤーたちの姿を深く描き出す。作品を通じて、マンガ、テレビゲーム、映画が現代のタイ社会で消費される様をうかがい知ることができる。
速水洋子

軍服コスプレはアニメの特定のキャラを模すのではない(そこがオリジナルなのだ)、と青年は語る。プレイヤーの多くはTVゲーム経由の米軍スタイルだ。ナチスや旧日本軍のコスプレはないわけで、そこの心性も訊いてみたくなった。
石坂健治

Director: Sakunee Jirakan, Witchayoot Ponpraserd, Sarun Kositsukjaroen

ラップタイ

この作品は、ラップ・カルチャーが現代タイ社会にどのように定着し影響を与えてきたかを紹介する。タイ文化とラップ音楽固有の伝統のシナジー(相乗効果)に焦点を当てた本作は、12人のタイ人ラッパーの物語を取り上げ、彼らが人生経験を通じて様々なスタイルで表現する独自の様子を紹介する。

チラカーン・サクニー

1998年生まれ。スワンスナンター・ラーチャパット大学の3年次生として、スアン・スナン・インターナショナル・スクール・オブ・アートに籍を置く。ラチャダムノーン・コンテンポラリー・アート・センターでドキュメンタリー映画を制作している。タイ・ドック・フィルムで特別賞を受賞。2017年には国際交流基金アジアセンターの…and Action! Asia#04: 映画・映像専攻学生交流プログラムに参加。

 

ウィチャユット・ポンプラサート

1998年生まれ。スワンスナンター・ラーチャパット大学の3年次生として、スアン・スナン・インターナショナル・スクール・オブ・アートに籍を置く。ショートフィルムコンテスト6+6、Department of Skill Development No.4に入賞、またタイ・ドック・フィルムで特別賞を受賞。2017年には国際交流基金アジアセンターの…and Action! Asia#04: 映画・映像専攻学生交流プログラムに参加した。

 

サルン・コーシットスックチャルーン

1997年生まれ。スワンスナンター・ラーチャパット大学の3年次生として、スアン・スナン・インターナショナル・スクール・オブ・アートに籍を置く。学生生活と並行して、舞台や映画、コマーシャル、ドラマ、ミュージックビデオのスタッフとしてアルバイトをしている。ショートフィルムコンテスト6+6、Department of Skill Development No.4に入賞、またタイ・ドック・フィルムで特別賞を受賞。2017年には国際交流基金アジアセンターの…and Action! Asia#04: 映画・映像専攻学生交流プログラムに参加した。

 

撮影地 タイ

このドキュメンタリーを制作した理由は?
どのようないきさつからこのテーマに取り組む事となりましたか?

ラップをよく知らない人々にラップを紹介したいという目的で、このドキュメンタリーを制作しました。私自身、ラップにはシンプルな美しさがあり、一般的な楽曲よりも優れていると思っています。(多くの人が否定的にとらえている)ラップは皆が考えるほど悪いものではありません。
ラップは簡単に作曲できるものではなく、さまざまな制約もあります。詩歌と同じく人々の心を動かすことができる芸術なのです。ラッパーのコミュニティもラッパーたちも人間的に素晴らしい人ばかりですし、白か黒で判断すべきものではありません。だからこそ私は、ラップをより広い視聴者に届けたいという思いでこのドキュメンタリーを制作しました。

 

ラップタイ

ビデオやYouTubeで世界の最先端を求めながらも、タイの言葉と文化に根差した発信を模索し、新しい伝統芸能を作り出そうとする人たち。「ラックタイ」(タイ大好き)と韻を踏む作品タイトルからは郷土への思いがうかがえる。
山本博之

各国に広がったこの音楽ジャンルは、いまや背後の社会の空気を掴み、政治状況への異議申し立てを行う武器にもなっている。そういえば東京国際映画祭で上映されたフィリピン映画『リスペクト』もラップ合戦が見どころの傑作だった。
石坂健治

Photo VDP2018

Photo: CSEAS

Photo: CSEAS

Photo: CSEAS

Photo: CSEAS

Photo: CSEAS

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